ジョー・バイデン米大統領がアフガニスタン駐留米軍の撤収計画を発表した今春のこと。政権内では、アフガン政府軍が主要都市を守り抜き、反政府勢力タリバンとの戦闘もおそらく膠着(こうちゃく)状態に陥るとの見方が出ていた。タリバンがここにきて攻勢を強めるまで、最短でも秋まではどの州都も制圧されることはないというのが米当局者の想定だった。ところが綿密に計画を策定していたタリバンは瞬く間に支配地域を広げ、6日以降、複数の州都を相次ぎ制圧した。12日には西部の最大都市ヘラートを陥落させ、同国第2の都市である南部カンダハルの制圧にも近づいた。米情報当局の最新の分析では、早ければ今後1カ月でタリバンが首都カブールを制圧する可能性があると考えられている。米当局者が目下懸念しているのは、タリバンの侵攻に先立ち、アフガン市民や兵士らがカブールから退避することだ。