ドイツのシーメンス、スイスのABB、フランスのシュナイダーエレクトリックは前世紀、社会の電化における中心的存在だった。これら欧州重電大手3社が電動化の新時代において力を入れているのは、デジタル技術だ。19世紀にさかのぼる起源を持つ3社は、発電所からコンセントに至るまで、欧州の電力インフラの構築に寄与してきた。シーメンスは米ゼネラル・エレクトリック(GE)同様、家電も手掛けていた。だが、経済の脱炭素化に向けた新たな電動化の波が起きる中、3社はそろって高圧送電事業から手を引きつつある。その代わり、長年の課題であった産業用「モノのインターネット(IoT)」に力を入れている。デジタル技術を使って、建物や工業生産、地域の電力システムをよりスマートに、より効率的にする取り組みだ。UBSのアナリスト、ギレルモ・ペイニュー・ロジョ氏は「プロジェクト事業から撤退し、製品事業に集中するという明確な戦略を持っている」と指摘する。製品事業はデジタル化やソフトウエア、サービスを含み、成長性と収益性が高い傾向にある。
欧州の重電大手3社、デジタル技術注力の成果は
前世紀に社会の電化に貢献した各社、新たな電動化の波に乗る
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