アフガニスタンの主要都市が初めて陥落したのは8月9日だった。最後に首都カブールが陥落したのは、そのわずか6日後のことだ。イスラム主義勢力タリバンが米国主導の有志連合によって追いやられてから20年。復権を遂げるに至った攻勢は、目もくらむ速さに見えた。だが現実には、タリバンの勝利への道は長年かけて築かれたものだ。タリバンはアフガニスタン戦争を通して、欧米の有志連合軍とそのアフガン側協力者のミスに乗じて戦闘員を集めていた。人権侵害や民間人の犠牲、汚職に対する民衆の怒りを利用し、アフガン人を中央政府と外国の支援者に敵対させたのだ。支配地を広げるにつれ、タリバンは地方に影の政府を設立していった。現地の争いを解決し、税金を徴収したり公共サービスを提供したりして、戦闘員を確保する基盤を広げた。最終攻撃を開始する頃には、治安部隊や地方の政府関係者の士気はすっかり低下していた。タリバンは一人また一人と寝返らせ、ほとんど戦火を交えることなく主要都市を占拠することができた。