中国政府の政策目標を支持しない企業に対する当局の締め付けは、ここにきて高級ブランドにもその矛先が向かっているようだ。投資家はこのリスクに気付き始めたばかりだ。習近平国家主席は17日、所得格差の広がりや「共同富裕の促進」について演説した。ハイテクや教育サービス業界への統制強化は気にしていなかった高級ブランドの投資家も、遅ればせながら超富裕層への締め付けが強まることを懸念し始めた。18日に始まった売りは19日に拍車がかかり、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン、ケリング、エルメス、リシュモンの欧州高級4大ブランドは、合計600億ユーロ(約7兆7000億円)の時価総額が吹き飛んだ。中国が富の再配分へとかじを切ったことは、高級ブランド業界にとっては凶兆となる恐れがある。中国では一握りの超富裕層(ジェフリーズの推定ではわずか1万人)が高級品売上高の約25%を占める。国・地域別では、中国人はもはや高級品業界における最大の上客だ。増税や共産党の標的となるリスクを懸念して、高額商品の購入を控える動きが広がりかねない。