新型コロナウイルスワクチンの接種が遅れているアジア諸国では、変異ウイルス「デルタ株」が猛威を振るっており、製造業の生産能力が大きく損なわれている。そのため接種が進む米国の製品需要に供給が追いつかず、需給の不均衡がインフレ圧力の増大を招いている。年末商戦に向けて低コストで商品を確保したい企業にとっては、港湾施設での集団感染や貨物コンテナの不足、原材料費の高騰といった数々の問題に、ベトナムなどでのデルタ株流行が追い打ちをかける格好となっている。ベトナムでは2回目のワクチン接種を終えた国民は全体の3%に満たず、ここ6週間にデルタ株の感染が急増している。コロナ禍が始まって当初1年2カ月は、ロックダウン(都市封鎖)や国営施設での大量隔離といった封じ込め措置が奏功。欧米諸国向けにエクササイズ機器や電子製品、衣類などを引き続き輸出していた。