【社説】パウエルFRB議長、再任への演説Photo:Tom Williams/gettyimages

 米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長のセントラルバンカーとしての評価はさておき、彼が一流の政治家であることは間違いない。27日のジャクソンホール会議にオンラインで参加したパウエル氏は、市場の注目度が高い演説の中で、米経済に関する明るい見通しを示すとともに、自身の管理下でのFRBの成績について長い弁明を述べた。まるで選挙に出るかのように思えるかもしれないが、彼はFRB議長に再任されて2期目4年間の任期を務められることを期待しているのだ。ジョー・バイデン米大統領は間もなく決定を下す。

 パウエル氏の演説の主な内容は、現在の流れが続けば、FRBは債券購入を毎月続けている異例の量的緩和策のテーパリング(段階的縮小)を年内に開始するというものだ。ただ、パウエル氏はこれが金融引き締めを意味すると受け止められないよう、FRBはバランスシートの縮小に動こうとしているわけではなく、かなり長期にわたって利上げをする予定もないと急いで付け加えた。FRBのバランスシートは現在、8兆3000億ドル(約911兆円)に達している。