マーケットフォーカスPhoto:PIXTA

「平均インフレ率目標」を捨て
量的緩和縮小に向かうFRB

 8月18日に公表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事要旨(7月27・28日開催分)では、テーパリング(量的緩和政策の縮小)の開始時期についての議論がなされたことが示され、「ほとんどの参加者が今年中に購入額の減額を始めることが適当」と判断したことが明らかにされた。

 一部の参加者は、雇用情勢の回復が量的緩和の縮小開始の条件である「さらなる著しい進展」には程遠いとして、テーパリングの開始は22年初めが適当との見解を表したもようだが、これまでの市場コンセンサスよりやや早い21年12月のテーパリング開始がほぼ決定したといえそうだ。

 20年8月のジャクソンホール会合では、インフレ率が長期的に平均2%になることを目指す「平均インフレ率目標」が導入され、コロナ禍におけるデフレマインドの払拭(ふっしょく)にFRB(米連邦準備制度理事会)が躍起になっていることが明らかになったのだが、そこからたった1年でFRBは出口政策に着手する格好となる。

 バイデン政権による巨額の財政出動や早期のワクチン接種に向けた取り組みのたまものといえそうだが、FRBが危機対応策として取り入れた「平均インフレ率目標」は半ば形骸化しており、FRBによる「未曽有の金融緩和政策」をよりどころとしたポジションの巻き戻しも急速に進んできている。