マッキンゼー、Google、リクルート、楽天など、14の職場を経て、現在はシンガポールとバリ島を拠点にリモートで活動するIT批評家の尾原和啓氏。2021年7月に発売された著書『プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる』(幻冬舎)は、発売前から予約が殺到し、発売から2週間で2回の重版がかかり現在3万部を突破。本のタイトルでもある「プロセスエコノミー」という言葉がメディアで紹介されるなど、注目を集めている。尾原氏がグロービス・キャピタル・パートナーズの代表パートナーの高宮慎一氏と行った対談の模様を、全5回に分けてレポートする。

 ■尾原和啓×高宮慎一 対談01回目▶プロセスエコノミーのブームが「必然」といえる、3つの理由
 ■尾原和啓×高宮慎一 対談02回目▶個人が大きな力を持つ「プロセスエコノミー」が成立するワケ
 ■尾原和啓×高宮慎一 対談03回目▶GAFAがカバーできていない「究極の価値」とは
 ■尾原和啓×高宮慎一 対談04回目▶「メルカリ」から学ぶ、巨大プラットフォームと戦う方法

新しい価値は「価値の大喜利」から生まれる尾原和啓さん(写真左、撮影は千川修)と、高宮慎一さん(写真右)

「この行動は何に価値を感じているのか」を意識する

高宮慎一氏(以下、高宮) 前回のメルカリの話を聞くと、「メルカリすげー! 新しい価値を発見した!」みたいな感じに見えてしまうのですけど、実は後付けの解説で「兆しがあったよね」ということで、当時は僕もそこまで見抜けていなかったんですよ(笑)。正直なところ「いや~ぁ。ヤフオクもいるし、Etsy(エッツィ)はめちゃくちゃ時間かかったし」とか思ったりもしちゃってました(笑)。

尾原和啓氏(以下、尾原) アメリカのハンドメイドECサービスの「Etsy」ですね。

高宮 アメリカのサービスでいうと、10年くらいかかって3000億~4000億円までいって……。