今は貿易戦争を仕掛けるには危険な時期だ。サプライチェーン(供給網)は混乱に陥り、輸送コストも急上昇している。新型コロナウイルスのデルタ変異株も経済に打撃を与えている。だがそれでも、世界は貿易戦争を目にするかもしれない。中国は16日、オバマ米政権下で締結された環太平洋経済連携協定(TPP)の後継となる「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP=通称TPP11)」への参加を正式申請すると発表した。米国はこの自由貿易協定に参加していないが、CPTPPは世界経済の約14%をカバーしている。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は先週、バイデン政権が1974年通商法301条に基づいて中国の補助金を巡る新たな調査を検討していると報じた。調査の実施後、新たな関税を導入したり、同盟国と協力して世界貿易機関(WTO)に提訴したりするかもしれない。ホワイトハウスはまた、トランプ政権下で制定された関税を見直しており、そのうちのいくつかは撤廃または修正される可能性がある。