米英豪の安全保障の枠組み「AUKUS」からのけ者にされ、400億ドル(約4兆3800億円)の豪州向け潜水艦建造計画をキャンセルされたフランスは先週、猛烈に反発した。これは、フランスの洗練されたピーク(編集部注:英語で立腹の意味だが、フランス語ではピケと発音し畝織を指す)の鑑定家たちに、またとない悦楽の時間を提供した。仏政府がこうした気分になった際に呼び戻す外国の駐在大使は(2020年の駐トルコ大使、2019年の駐イタリア大使の例のように)通常は1人だけだ。さらに見事なことには、軽蔑や拒絶の感情を示すため駐英大使を召還対象から外すという新趣向の懲罰を科した。コスト超過分を含め600億ドル以上に上る契約を失ったことは、2020年の国防予算が総額500億ドル強にすぎないフランスにとって、確かに大きな痛手だ。しかし、豪州との契約はフランスにとって金額以上の意味があった。豪政府が英米政府との間でAUKUSの枠組みを構築するために、仏政府との国防面での長期的関係の打ち切りを決めたことは、深い傷を残した。
【オピニオン】米は対仏で率直になるべき
AUKUSで対立しても、米仏は互いを必要としている
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