ニール・ゾハル氏(43)は2007年、イスラエルのウェブサイト制作企業ウィックス・ドットコム(本社・テルアビブ)で働き始めた。最初はオフィスの雑用係だった。現在、最高執行責任者(COO)を務めている。ウィックスは現在の評価額で少なくとも5600万ドル(約62億円)の企業価値がある。短パンとTシャツ姿で出社するゾハル氏は、イスラエルで急成長するIT(情報技術)業界で億万長者になった世代の一人。この世代はテルアビブの姿も変貌させつつある。「たとえIT業界にいなくても、(この街では)生計を立てるのが非常に高い確率で楽になる」とゾハル氏は言う。イスラエルのIT産業集積地であるテルアビブでは、米国のサンフランシスコやテキサス州オースティンといった都市と同様、建設ラッシュが起き、娯楽・レジャー分野の投資が急増している。摩天楼が映し出すスカイラインも急速に変化し、建設中の超高層ビルのうち5棟は、完成すれば市内で10番目までの高さになるという。
イスラエルのシリコンバレー、急成長の光と影
IT産業集積地のテルアビブでは、テック業界がブームに沸く一方で貧富の差が社会を分断しつつある
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