天然ガスは比較的クリーンな化石燃料で、低炭素エネルギーへの移行を円滑にすると期待されていた。ところが、天然ガスには移行に伴う独自の問題があることが明らかになってきた。世界中の天然ガス価格がここ数カ月で急騰し、エネルギーコスト上昇やインフレ懸念、さらには工場の閉鎖を引き起こしている。市場逼迫(ひっぱく)の主因は、予想外の異常気象、新型コロナウイルス流行後のメンテナンスの遅れ、供給制約、そして地政学的な問題にあると考えられる。朗報なのは、来年になれば状況が変わる可能性があることだ。春が訪れ、新たな供給の波がやってくるからだ。悪い知らせとしては、世界が2050年頃までに低炭素エネルギーシステムに移行しようと試行錯誤する中、天然ガス価格は一段と不安定になる一方である可能性が高い。