バイオテク業界の先端技術として特に有望視されていた遺伝子治療に暗雲が垂れ込めている。臨床試験で複数の死者が出るなど、安全性を巡る懸念が実用化への取り組みを後退させているためだ。遺伝子治療とは、欠陥遺伝子を正常なものに置き換えることで、遺伝性疾患に1回限りの治療を行うというものだ。現在、2種類の治療法が承認されており、さらに数十種が開発段階にある。ところが9月、アステラス製薬が行っていた遺伝子治療の治験で、希少疾患である神経筋疾患を抱える幼い男子が死亡。また規制当局はバイオマリンファーマシューティカルが行っていた遺伝子治療のマウス実験でガンが見つかったとして研究を中断させた。アステラスでは、これまでに同じ遺伝子治療を受けていた男子3人が死亡し、治験が一時中断していた。今回、再開が認められた治験で再び死者が出た。
遺伝子治療の安全性巡り懸念、治験で死者
復活を遂げたとみられていた期待の先端技術に暗雲
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