ロシアが北大西洋条約機構(NATO)代表部の活動を停止することを決めた。双方の亀裂をさらに深めるとともに、対ロ関係を制御することで中国へと焦点をシフトさせたいバイデン米政権の取り組みをさらに難しくしそうだ。ロシアは10月末で、ブリュッセルのNATO本部内に置く代表部の外交官を呼び戻すとしている。NATOが今月、ロシア外交官8人を「情報部員」として追放したことへの事実上の対抗措置だ。ロシア外務省は18日、NATO代表部の活動停止は「友好的ではない行為」を受けて決めたと主張。モスクワにあるNATO軍事連絡部と情報事務所も閉鎖すると発表した。ロシアを巡っては、2014年のウクライナ侵攻、米国がロシアの仕業とみている2020年米選挙への介入、米ソーラーウィンズ社へのハッカー攻撃、ランサムウエア(身代金要求型ウイルス)攻撃、ロシア反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏に対する神経剤の使用といった一連の問題ですでに西側諸国との関係が冷え込んでおり、NATO代表部の閉鎖でさらに事態が悪化しそうだ。