半導体業界による将来への投資は、目下の問題に対処するものではない。米調査会社ガートナーによると、世界の半導体メーカーは今年、設備投資におよそ1460億ドル(約16兆5000億円)を投じる見込みだ。前年から3割余り増え、新型コロナウイルス禍前の2019年比では50%増となる。5年前の2倍超となる計算だ。だがガートナーの推計では、受注残が過去最高となっている、いわゆるレガシー(旧型)半導体向けの投資額は、その6分の1に満たない。投資額の少なさは、1個当たりの価格が数ドルでしかないレガシー半導体が、いかに旧式の技術・装置で作られているかを物語っている。こうした技術・装置にかかるコストは先端半導体より安い。ただこれは、多くの半導体メーカーが利益の低さや需要減少リスクを考慮し、レガシー半導体への数百億ドルの投資に慎重になっていることも示している。