ちょっとした皮肉に見えるが、英グラスゴーで開催された気候変動サミットから交渉担当者が帰国の途に就く中、中国で15日公表された指標は同国の鉱工業の成長がやや加速したことを示した。けん引力となったのは鉱業と電力部門だ。少なくとも成長の観点から朗報なのは、電力供給の抑制が中国の製造業全体にとっておそらく大きな脅威ではなくなったという点だ。悪いニュースとしては、内需がまだ非常に弱そうだ。2021年の残りの期間と22年初めにかけて、成長はさらに減速するだろう。中国は最近、石炭需要の伸びを抑制し、2030年までにピークアウトさせるという野心的な目標を改めて示している。しかし、15日公表された指標は、石炭価格の高騰や電力不足によって産業界が混乱し、住民が冬に暖を取れなくなったことから、鉱山の安全性向上と環境目標の達成へ向けて迅速に導入された石炭採掘と電力消費の厳格な規制が頓挫したことを示している。10月の石炭生産量は前年同月比で4%増加し、2020年4月以降で最大の伸びとなった。鉱業部門全体の成長も2019年後半以来の高さだった。ニューキャッスル石炭先物価格は1トン当たり150ドル前後と依然として高水準にあるものの、10月初旬のピークである270ドル前後は大きく下回る。
中国経済、底入れはまだ先
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