ショルツ新独首相に難題、米中ロとの間で板挟みPhoto:China News Service/gettyimages

【ベルリン】独連邦議会は8日、オラフ・ショルツ氏(63)を新首相に選出し、16年間の長期政権を率いたアンゲラ・メルケル前首相の時代は幕を閉じた。ショルツ氏はメルケル氏から積年の課題を引き継ぐ一方で、就任早々から一連の危機に直面しており、政策課題に掲げているドイツ国家と経済の近代化計画を推進するのは容易ではなさそうだ。

 ドイツのロシア寄りの姿勢は、国際社会から批判を浴びている。物議を醸している「ノルドストリーム2」パイプラインは、ロシア産天然ガスをドイツに直接輸送するもので、月内にも稼働開始が見込まれている。折しも、ウクライナ侵攻を準備しているとして、米国がロシアを糾弾しているタイミングだ。

 ジョー・バイデン米大統領は7日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とビデオ通話経由で会談し、ウクライナ侵攻に踏み切れば、米国は同盟国とともに強力な経済制裁で対抗するとけん制した。これに関連して、米議会の超党派議員団はノルドストリーム2に対する制裁の発動を求めている。

 ウクライナを巡る対立は、ショルツ氏を就任直後から危機的な状況に追い込みかねない。ドイツ政府にはパイプライン計画を停止か、少なくとも凍結するよう圧力が強まる可能性が高い。ドイツにとって、同パイプラインはエネルギー輸入を確保する戦略的資産だ。