北京五輪の外交的ボイコット、米選手の苦悩Photo:Tom Pennington/gettyimages

 アスリートとして人生最大の勝負に向かう選手は、その瞬間に全神経を集中したいと考えるものだ。彼らは競技とは関係のない周囲の雑音が耳に入らないよう、肉体的にも精神的にも訓練を積んでいる。

 だが、2022年の北京冬季五輪に出場する米選手団は、過剰な雑音に包まれることになるだろう。

 バイデン米政権が6日発表した北京五輪への外交的ボイコット(米選手団の出場を阻むものではない)は、かねて予想されていた。しかも足元では、著名中国人テニス選手の彭帥さんの身の安全を巡る懸念が強まったことで、外交的ボイコットを求める機運がさらに高まっていた。彭さんのソーシャルメディアの公式アカウントから、元共産党幹部に対する性的暴行疑惑を告発する内容の投稿があったことが発端だ。中国は米国の政治的ボイコットに対して報復すると明言している。