新型コロナ禍でむしろ支持率を回復
国民にメッセージを発し続けるメルケル首相
1月15日から2日間、ドイツの与党・キリスト教民主同盟(CDU)の党大会が開催され、アルミン・ラシェット・現ノルトライン=ヴェストファーレン州知事が新党首に進出された。本来なら党大会は2020年4月に開催される予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて12月まで延期され、さらに1月に繰り延べられていた。
ドイツでは9月26日に総選挙が行われる予定だ。現在、CDUとバイエルン州を地盤とする姉妹政党・キリスト教社会同盟(CSU)の支持率は各種世論調査で35%前後をキープ、首位を独走している。このままCDU/CSUが支持率を維持できれば、メルケル路線の踏襲を明言するラシェット新党首が後継の首相に指名される可能性は高い。
世界を見渡すと、新型コロナウイルスの感染対策で支持率を下げた政権がある一方で、上げた政権も存在する。欧州の場合、前者の典型例が英国のジョンソン政権であり、後者の典型例がドイツのメルケル政権だ。コロナ直前までCDU/CSUの支持率は20%台後半で低迷、2位の同盟90/緑の党との差は5%程度まで近接していた。
新型コロナウイルスの感染拡大は、CDU/CSUにとって強い追い風となった。退場を目前にレームダック化が進んでいたメルケル政権であったが、第一波の際の被害を他の欧州諸国よりも軽微に留めたこと、さらにメルケル首相が適切なメッセージを発し続けたことが有権者に好意的に評価され、党勢の回復につながったのだ。
11月以降、新型コロナの感染拡大を受けて欧州各国で行動制限が強化されている。ドイツでも1月10日までとされた行動制限措置が2月半ばまで延長され、さらに接触制限や外出制限の厳格化といった行動規制の強化が実施されている。特に外出制限に関しては、一定の条件を満たす場合は半径15キロに制限されるなど、厳しい内容だ。