【ベルリン】新型コロナウイルス感染症への対応で人気を高め、アンゲラ・メルケル独首相の真の後継者だという印象を示してきた政治家オラフ・ショルツ氏(63)は、26日の総選挙で同氏所属の社会民主党(SPD)が僅差で勝利したことを受けて、欧州最大の経済力を持つドイツで次期首相の座に最も近い人物となった。
ショルツ氏が所属するSPDは、獲得議席数でメルケル氏が率いる保守派連合を僅差で上回り、第1党となった。しかし、SPDの獲得票は全体の4分の1にすぎないため、同氏は戦後ドイツ史の中で初めて、議会での安定多数確保のため3政党の支持を必要とする政治指導者になる。
同氏が直面する障害は、複雑な3党間の交渉だけではない。メルケル氏率いる保守派連合もまた、ショルツ氏が連立パートナーにしたいと考えている自由民主党(FDP)と緑の党を味方に引き入れて、連立政権をつくりたいとの考えを示している。
ショルツ氏は27日、記者団に対し「ドイツ市民は政権交代を望んでいる。彼らはわれわれがドイツ政府を率いることを望んでいる」と語った。選挙で第1党になった政党が、連立政権樹立の優先権を持つというのが、ドイツ政界の不文律だ。しかし、その第1党が連立交渉に失敗した場合、同党が首相の座を得られる保証はない。
ショルツ氏は27日、自身を首相とする政権が誕生すれば、労働者の利益に奉仕し、人為的な気候変動への対策に注力すると語った。彼はまた、欧州連合(EU)の連帯強化に努め、メルケル氏と同様に米国への過度の接近を避けると述べ、外交政策の継続性を確保する姿勢を示した。