「今の会社で働き続けていいのかな?」「でも、転職するのは怖いな……」。働き方が大きく変わるなか、悩みを抱える人は多いだろう。高卒から、30歳で年収1000万円超という驚きの経歴をもつ山下良輔さんは、そうした「転職迷子」たちから圧倒的な支持を得ている。山下さんは12月に出版した初の著書『転職が僕らを助けてくれる――新卒で入れなかったあの会社に入社する方法』で、自らの転職経験を全て公開している。
その戦略は「外資系やコンサル業界は、学歴エリートでなくても入れる」「職歴に一貫性はなくてもいい」など、これまでの「転職の常識」を塗り替えるものばかりだ。どうしたら人生を変える転職ができるのか、どうしたらいい会社選びができるのか。この連載では本書より一部を特別に公開する。

優秀なのに「普通だな」と評価されてしまう人に欠けている感覚Photo: Adobe Stock

 職務経歴書に客観性を持たせるため、「数字」を入れることは意識している人が多いと思います。しかし、数字を絶対視するのは危険です。数字を「入れる」だけではダメで、その数字のすごさを、企業側に「実感してもらう」ことが重要なのです。

「実感してもらう」とはどういうことか。僕が1社目に入社した松田電機からスバルへの転職を例にして、説明します。

 僕は松田電機時代に工場の生産ラインのムダを見直し、コスト削減を実現。これを職務経歴書に記載することにしました。仮に、僕の削減した金額が1500万円だとします(※仮の数字です)。

 1500万円は、僕の年収額として考えたら自分がもらっている年収の6倍の額。松田電機の年間の売上から考えても、すごい成果です。しかし、肝心のPRする相手であるスバルにとって、1500万円は「大きい」とは到底いえない数字でした。

 そこで僕は「単位を変換する」というテクニックを使うことにしました。1500万円は年間の削減額でしたが、これを「1台あたり100円削減」と言い換えることにしたのです。

 1台単位で書いておけば、採用担当者が書類を読みながら、「あっ、うちの場合だと、トータルで〇〇億円のコスト削減になるな」と勝手に計算してくれます。

 この「最小単位に変換する」作戦は、コスト削減以外にもいろいろな場面で使えます。例えばあなたがチームリーダーで、メンバーの指導をした結果、営業成績が改善した場合。「3人をマネジメントして、合計3億円の売上、達成率が120%でした」よりも、「一人あたりの売上を30%増加させました」と書いたほうが、伝わります。