「また一緒に仕事をしたい」――ひとつの仕事が終わったときそう言われるのは、誰にとってもうれしいことで、次の仕事への意欲にもつながる。読売テレビ在籍中から、フリーになって東京を拠点に活躍する現在に至るまで、そう言われつづけているアナウンサーが、川田裕美さんだ。
MCアシスタントとしての進行ぶりに定評があり、局を問わず引く手あまた。今冬発売された自身初のビジネス書『ゆるめる準備』には、東野幸治さん、宮根誠司さん、坂上忍さん、辛坊治郎さん……といった、これまで共演してきた名だたる司会者、タレントとのエピソードが数多く登場する。
本番中はもちろん、場合によってはそれ以外の時間も彼らのことをよく観察し、こまめにコミュニケーションを取り、関係を築き、仕事ぶりだけでなくクセのようなものまで把握する。そうして言葉にならないメッセージをキャッチしながら、その先を読み、適宜説明を足したり自身の見解を述べたりしながら、番組を進める。
こうした高度なコミュニケーションはやはり才能によるところが大きいのだろう……と思いきや、川田さんは最初からコミュニケーションの達人ではなかったし、「人に何かを伝えるのが上手ではなかった」と言う。