アジアの新規上場銘柄で利益を狙う投資家にとって、戦略の重心は中国からシフトしつつある。2021年は中国当局の取り締まり強化に金融市場が動揺。新規上場した中国企業が高いリターンをもたらしてきた近年の流れが一変した。こうした中、妙味の大きい新規株式公開(IPO)案件を狙う市場として代わりに注目を集めているのがインド、韓国、東南アジア勢だ。ゴールドマン・サックスのアジア(日本除く)株式資本市場共同責任者、ウィリアム・スマイリー氏は「(2021年の)重要なトレンドの一つは、投資家が中国以外に熱い視線を向け始めたことだ。これらの市場はこれまで以上に活況を呈している」と話す。ディールロジックのデータによると、アジア太平洋地域の大型上場案件のうち、中国、韓国、インド企業が大半を占めた。これには日本と中国本土の市場は含まれていない。日本は単独で確立した市場ととらえられることが多く、中国A株市場のIPOに外国人投資家が参加することは難しいためだ。