中国「ゼロコロナ」政策に怒り拡大、死産の悲劇もPhoto:VCG/gettyimages

 新型コロナウイルス感染拡大により厳しいロックダウン(都市封鎖)が敷かれている中国北西部の西安で、病院から受け入れを拒否された妊娠8カ月の妊婦が死産に見舞われる問題が発生した。ネット上では全国から批判が殺到し、地元当局は規制の一部緩和に追い込まれた。

 西安ではここ2週間にわたり、1300万人の市民が自宅に閉じこもる生活を余儀なくされている。足元のコロナ流行で感染者は約1800人に上っており、徹底した封じ込め対策を実施している中国では異例の大規模感染となっている。当局によると、感染者の大半は軽症にとどまっており、死者は出ていない。にもかかわらず、コロナ感染の最初の震源地となった武漢市で2年前に導入されたような厳しい封鎖措置が講じられ、大半の公共サービスが停止されている。コロナ以外の患者を受け入れる病院の数もわずかしかない。

 そのため、食糧の確保や医療サービスの利用が難しいとして、ネット上では厳格なロックダウンへの不満が高まっていた。5日には、妊婦が病院の外で数時間にわたって待たされ、足元に血がたまっている1分間の動画が拡散。全国から怒りのメッセージが殺到した。その動画では、女性が受けた直近のコロナ検査結果は証明書としての有効期限を数時間過ぎているとして、病院の外で2時間待たされたと身内だとする人物が説明している。病院が受け入れた時には、おなかの赤ちゃんはすでに死んでいたという。

「ゼロコロナ」戦略の下で、極めて厳しいロックダウンを敷いてきた当局の対応も、今回の一件で転機を迎えているようだ。ネットで波紋が広がると、西安当局はすぐさま、病院側はコロナ封じ込めの名の下で、妊婦を含め、迅速な医療行為を必要している患者の受け入れを拒否すべきではなかったとの見解を表明した。

 当局は複数の病院幹部を解雇するとともに、病院側に謝罪するよう求めた。