米連邦準備制度理事会(FRB)は昨年12月の金融政策会合で緩和解除のスピードを巡る議論に着手した。その際、短期金融市場の環境が当局者の頭の中にあったことは間違いなさそうだ。
5日に公表された12月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、現在8兆8000億ドル(約1019兆円)に膨らんでいるバランスシートについて、前回量的引き締めを行った2017~19年と比べ、利上げ開始後からより早い時期に、かつ速いペースで縮小を進めることができると考えられていることが分かった。
当局者は複数の理由から、これが可能だと確信している。中でも、銀行システムの準備預金は潤沢で、FRBは市場の流動性を管理する一連の手段を有しているというのが大きなものだろう。
だが、こうしたFRB当局者の自信にもかかわらず、短期金融市場におけるFRBの存在感はあまりに大きいとして、懸念する声も上がっている。
まずは、マネー・マーケット・ファンド(MMF)などから現金を吸い上げる「リバースレポ・ファシリティー」に目を向けてほしい。昨年12月31日の利用額は驚愕(きょうがく)の1兆9000億ドルと、過去最高を更新した。その後は直近のトレンド水準である約1兆5000億ドルに戻っているが、昨春の段階では利用額はほぼ無視できる程度にとどまっていた。