【ブリュッセル】欧州連合(EU)の通商・経済担当トップにとって、昨年はほぼ「ダメージ修復」の年だった。ここにきて焦点は新たなものを構築することに移っているが、前途多難であることはほぼ確実だろう。  バルディス・ドンブロウスキス氏が2019年終盤、EUの執行機関である欧州委員会の副委員長に就任してから程なく、EU経済は新型コロナウイルス禍で深刻な景気低迷に見舞われた。EUの通商責任者も兼務することになった2020年10月の時点では、米国とEUの貿易関係は戦後最悪の水準まで冷え込んでいた。  だが、ここにきて双方の政財界関係者は通商関係について一段と楽観的な見方を強めている。