欧州とロシアの関係は、ソビエト連邦崩壊後の30年間で前例のないほど冷え切っている。ロシアで20年以上にわたって権力の座に就くウラジーミル・プーチン大統領は、これまで以上に欧州の近隣諸国を揺さぶっている。ウクライナ侵攻の可能性をちらつかせ、カザフスタンの独裁体制を支援するために軍隊を配備し、自国の天然ガスの輸出を武器として利用し、西側諸国に安全保障面での大幅な譲歩を要求している。今年70歳を迎えるプーチン氏は、最近では欧州に新たな難民危機をもたらしている。ロシアの傀儡(かいらい)国家であるベラルーシは、中東からの難民を欧州連合(EU)に流入させており、ロシアはそれを止めるにはベラルーシと財政的な取り決めをする必要があるとEUに迫っている。また、西側諸国で発生した大きな注目を集めるロシア人亡命者の一連の殺害や殺害未遂事件についても、プーチン氏は責任こそ認めていないものの、肯定的に話している。欧州当局はそれらをロシアの情報機関の犯行とみている。