ハナバチとチョウは、農業に重要な役割を果たしている。世界中の農家は、コーヒー、ココアからベリー類に至るまでさまざまな作物の授粉を、こうした昆虫の助けに依存している。しかし、一般的な大気汚染物質が昆虫の授粉行動を妨げ、作物栽培に悪影響を及ぼしかねないことが、英国の新たな研究で明らかになった。昆虫は花の蜜を吸い花粉を食べるために、芳香を頼りに花を探すが、大気汚染物質はこうした昆虫の活動を困難にする可能性があるという。「ディーゼル燃料の排気ガスとオゾン汚染は、虫が花を探す際の助けとなる香りの成分と化学反応を起こす可能性がある。それによって、昆虫が何の匂いも感じなくなる恐れがある」と、英レディング大学の上級特別研究員のジェームズ・ライアルズ氏は語る。同氏が筆頭筆者を務めた論文は、こうした研究成果をまとめたもので、19日に環境汚染専門誌「エンバイロメンタル・ポリューション」に掲載された。