激動の2021年を経て、中国当局は今年、住宅市場の安定を必要としている。習近平国家主席が党総書記として異例の3期目を決めるとみられる秋の第20回共産党大会が迫っている中ではなおさらだ。だからといって、苦境にあえぐ不動産開発業者の先行きが必ずしも改善するわけではない。むしろ、業界淘汰(とうた)の波がそこまで押し寄せているようだ。国有系を中心に健全な開発業者はここにきて、主に業績不振にあえぐ民間部門の競合勢から資産を買い上げている。雅居楽集団と世茂集団は20日、パートナーの国有企業、中国海外発展(COLI)に不動産プロジェクトの権益を合計5億8000万ドル(約660億円)で売却すると発表した。これにより、総床面積およそ6300万平方フィート(590万平方メートル)に上る広州市の開発案件で、COLIの持ち分は20%から75%近くに跳ね上がる。世茂は先週、上海市の土地の一部を同市政府が所有する会社に売却することで合意したとも明らかにしている。