学校閉鎖を契機とした組合批判は、チャーター・スクールの推進などの抜本的な教育改革の必要性を主張する論拠にもなっている。

 チャーター・スクールは、公費によって運営されるが、保護者や教職員、地域団体などが主導で自由な教育を行う。教職員は労働組合に所属しない場合がほとんどなので、「組合主導の学校閉鎖はあり得ない」というわけだ。

 共和党がチャーター・スクールを推進する理由は、単に学校閉鎖の回避にとどまらない。これまでのリモート教育による学力低下を取り戻す起爆剤として、組合に縛られないチャーター・スクールによる取り組みの必要性が主張されている。

 危機からの復興が教育改革の契機となった事例としては、ハリケーン「カトリーナ」後のルイジアナ州ニューオーリンズの経験がある。

 2005年の被災前からニューオーリンズは、公立学校の水準の低さが問題視されていたが、ハリケーンにより学校が甚大な被害を受け、早急な復旧が難しかったことが、チャーター・スクールを主軸とした大胆な改革が進められるきっかけとなった。

 成績の向上などで成果を上げたチャーター・スクールの事例が報告されている一方で、伝統的な公立学校の沈滞を批判する声もあり、ニューオーリンズの経験は論争を呼んだ。

 もちろん、教育改革を求める共和党の主張は政治的な思惑と切り離せない。共和党には、コロナ禍の危機を契機として、民主党の有力な支持母体であり、長年の宿敵である教職員組合の弱体化を進める思惑がある。

 それでなくてもバイデン政権と民主党は、学校閉鎖に反対する保護者たちと、リモート教育の選択肢を求める教職員組合の板挟みになっている。

 共和党にとって学校論争の盛り上がりは、民主党と組合の関係に、くさびを打ち込む絶好の機会ととらえているようだ。

根底には深刻な教員不足
強まる現場の負担、保護者の不満

 だが、組合批判やチャーター・スクール推進の改革論が、現下の学校の窮状への対応策につながるわけではない。

 学校が度重なる閉鎖に追い込まれている背景には、コロナ前から問題とされてきた深刻な教員不足があるからだ。

 コロナ禍に追い打ちをかけられて人手不足に悩む学校の現状は、他の産業と変わらない。簡単に代用できない専門職であるほど、人手不足で通常の活動が難しくなる。学校以外でも、例えば航空業界では、パイロットの不足によって多くの航空便が欠航に追い込まれている。

 教育現場では、全米の学校が人手の確保に四苦八苦してきた。

 感染などで欠勤が出ても、それを補充する代行教員が見つからない。

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政治問題化で遠のく教員不足の根本解決

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