学校論争の過熱は、教員の転退職を加速させるリスクがある。

 学校や教職員組合への批判の高まりにより、教育現場での保護者と教員の対立が深まりかねないからだ。同程度の学歴を持つ他の専門職と比較すると、教員の給与は2割程度低い。

 それでも教員をつなぎとめてきた大きな要因は、仕事のやりがいであり、生徒や保護者との信頼関係だったはずだ。

 現時点では、学校の閉鎖が全米に広がっているわけではない。

 しかし、政治の舞台で過熱化する学校論争の陰では、米国の教育を支えてきた保護者と教員の信頼関係が危機に瀕していることは見逃せない。

 ひとたび失われた信頼関係は、そう簡単には修復できない。

 学校閉鎖を巡る問題は、見かけよりも根が深いのだが、政治問題化することで根本解決からますます離れてしまっている。

(みずほリサーチ&テクノロジーズ首席エコノミスト 安井明彦)

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