昨年秋に教育専門の報道機関であるエデュケーション・ウィークが全米の学校を対象に行った調査では、8割近くが代行教員の不足を指摘していたほか、通学のためのスクールバスの運転手の不足を経験している学校も7割近かった。
感染防止策の実施など、対面授業を行うためには、従来以上に人手が必要だ。十分な教員が確保できずに対面授業を強行すれば、ひとつの教室に多数の生徒を詰め込まなければならない。
それでも対面授業を維持すべく、各地の地方自治体は、教員や代行教員の資格要件を緩和するなどの対応に追われている。何とか人手が確保できたとしても、教員の質が維持されているとは限らない。学力への影響は避けられず、保護者の不満は絶えない。
政治問題化で遠のく根本解決
教員の転退職が加速するリスク
米国ではすでに2010年代前半から、教員の需要に供給が追いつかない傾向が強まっていた。教員を志望する若者が、減少傾向にあったからだ。
そのうえ08年のリーマン・ショックの直後には、全米で多くの教員が解雇された。しかし、その後の景気回復期では、教員の補充に苦しむ学校が続出している。
16年にスタンフォード大学の教授などが発表した試算では、10年代半ばには6万人程度だった教員不足が、20年代には10万人を超えると予測されていた。
コロナ禍によって、米国の教員不足は深刻度を増しそうだ。昨年1月にランド研究所が教員を対象に行った調査では、転退職を考えている割合が4割近くとなり、例年の2割弱を大きく上回っていた。
昨年11月に行われた別の調査でも、同様の回答は5割弱となっている。
教員には、自らの感染リスクはもちろん、感染防止策の実施に伴う負担の増加やリモート授業の難しさなどで、疲労とストレスが鬱積していることがある。
昨年5月に地方自治を専門とするシンクタンクのミッションスクエア研究所が地方自治体の職員を対象に行った調査では、ストレスや疲弊を訴える教員の割合が他の公務員の約1.5倍に達している。



