米連邦準備制度理事会(FRB)が今週、3月から始めると発表した金融引き締めは、1980年よりも後に生まれた人にとっては見たこともないものになるだろう。それには二つの理由がある。いずれも市場を不安にさせるものだ。一つは、FRBが利上げを始めた1994年、1999年、2004年、2015年には、インフレ率がその望ましい水準(現在は正式に2%と定められている)近くか、それを下回っていたことだ。このように利上げは、インフレ率の押し下げではなく、その上昇を防ぐことを意図した予防的な措置だった。従って、利上げペースや新たな経済指標への対応でFRBには大きな裁量があった。現在はインフレ率が非常に高い。昨年12月の7%という伸びに、原油高や中古車不足といった一時的要因の調整を行った後でも、基調的なインフレ率は2%を大きく超える。12月の失業率は3.9%で一段と低下しつつある中、米経済は最大雇用の状態にあり、インフレに上昇圧力をもたらしている。これは普通、FRBが利上げの開始時点ではなく終了時点でそうなってほしいと考える経済状態だ。