ミャンマー軍のミン・アウン・フライン最高司令官は昨年の終盤、かつて「アジアの米びつ」と呼ばれた同国の市民に対し、主食の米を食べる量を減らすよう促した。食料はたっぷりあると言明し、もっと肉や魚、野菜を食べるようにと述べた。だが今、人々にそんな余裕はない。ミャンマーの軍事クーデターから1年がたち、国民の所得は激減した。通貨は暴落し、燃料価格が2倍になった。同国最大の都市ヤンゴンの市場では、食用油や農産物、せっけんなどに1年前の約2倍の値段を払っていると買い物客は言う。「私たちは生きるのに必死だ」と、退職した市職員のサン・フタイさん(62)は話す。10代の娘が家計を助けるためにメイドとして働き始めたという。バイクタクシーの運転手をしているフタイさんの稼ぎでは、最低限の食費と家賃をまかなうこともできなくなった。