企業名や実名を公表した上で、SNSでアカウントを設けることは今や珍しくない。所属する組織に影響が出ないよう、穏当なツイートを心がければ問題ないだろう。しかし、最近ではそのようなアカウントがしばしば炎上するケースを見かける。特に今年は、「人事」を担当するアカウントの炎上が続いている。(フリーライター 鎌田和歌)
給与や待遇にこだわる人とは働きたくない?ツイートに批判殺到
私は、会社の顔となる人事だからこそ、待遇/給与で会社を選ぶ方と働きたいとは思わない。」
こんなツイートが大炎上した。1月31日夜に投稿され、2月3日昼時点で8000件以上のRT、そのうち批判的な引用RTが半数以上となっている。労働者が会社を待遇や給与で選ぶのは当然の権利、それはやりがい搾取なのではないか? といった指摘が見られる。
このアカウントは、プロフィールやアカウント名に会社名を実名で記していて、都内にあるベンチャーコンサル企業の人事の女性であることがわかる。匿名の人事ならまだしも、企業名を明かした状態でこんなことを……と、驚いた人が多かったのではないか。
翌日のツイートで、「たくさんのご意見いただきありがとうございます!」「採用に携わる方は自分の目で、自分の価値観で見極めたい。価値観はそれぞれ違いますので、私が正解でもないしそれぞれの価値観がそれぞれの正解だと思っています」と続けたことも、こういった炎上につきものの、「燃料再投下」となった。
このアカウントが過去にツイートしているその他の情報からは、このアカウント主が他業種から転職し、人事としては1年程度のキャリアであることもわかる。おそらく、彼女自身が待遇や給与で仕事を選んでいないから、一緒に働く人にもそれを求めたいという意図があったのではないか。とはいえ、筆者個人としては、まったく同意できない。
若く経験の少ない人の行いを過剰に記事でたたくのは控えたいが、もし筆者の友人、知人がこの企業に応募していると知ったら、まずこのツイートを見せてどう思うかを聞くだろう。
ただ、今後応募する人はこのツイートを見てもなお「志望したい」「その理念に共感する」「自分は待遇・給与で会社を選ばずに御社に尽くす」と思う人なのだろうから、マッチングしない相手を事前にはじくという意味で、どこも変わらないように見える求人情報より有用なのかもしれない。