自由に世界を歩ける日がきたら
また、“異質な自分”になる体験は、変わる勇気を後押ししてくれます。
子どもの頃に突如転居した先の弘前、伊勢丹時代に赴任した香港、そして鈴屋の頃に行ったパリやニューヨーク、会社を辞めて勢いで移り住んだ台湾。
僕は何度も異邦人として生き、その都度、新しい自分へと生まれ変われたような気がしました。
きっかけとなるのは、環境の力です。
サナギから蝶へと脱皮をするきっかけは、外気の温度の変化なのだそうです。季節が変わり、気温が上がることで、蝶へと変貌を遂げる。
ここで僕から提案です。
大人こそ、バックパッカーのような身軽な長旅をしようではありませんか。
自由に世界を歩ける日がきたら、最低でも一ヵ月、できれば一年、休みを取って見知らぬ土地を旅してみてください。
外国でアルバイトを探して、稼ぐことにトライするのもいい。
異邦人として見られる時間をゆっくりと過ごすことで、自分自身の「個」の輪郭が浮き上がってくるはずです。
十年に一度は、バックパッカーになりませんか……。
(本原稿は、中野善壽著 『孤独からはじめよう』から一部抜粋・改変したものです)