ロシアがウクライナに侵攻すれば、欧州で第2次世界大戦以来、最も重大な影響を及ぼす軍事衝突となり、それによってロシアは欧州域内の米国の同盟諸国を脅かす存在になる恐れがある。米外交分野のエスタブリッシュメント層の多くは、こうした侵攻が起きた場合には、欧大陸への米軍の大規模な展開が適切な対応策になると主張している。しかしそれは、重大な過ちになるだろう。もはや米国には、世界中に軍隊を派遣する余裕はない。その理由は単純だ。それは、米国自身が台頭して以来、国際システムの中で最も著しい勢力拡大を進め、ますます攻撃的な姿勢を強めている中国の存在だ。中国経済は、一部分野では世界最大になっている。そして中国は、その経済力に匹敵するほどの軍事力を構築してきた。25年前の中国軍は、劣勢で時代遅れだった。しかしこれまで20年以上にわたる中国の国防予算の著しい拡大と、政治の最高指導者の極めて明確な軍事重視姿勢によって、人民解放軍は世界史上最強の軍隊の一つへと変容した。
【寄稿】台湾はウクライナよりも重要
ウクライナ問題への深入りは、米国の中国対抗策の障害に
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