安哲秀氏が提案する候補一本化方式は、尹錫悦氏にとって危険が伴うものであり、容易には同意できないだろう。

 しかし、安哲秀氏にとっては一本化が実現できなければ、今後の選挙情勢は一層不利となり、選挙に立候補した意味がなくなりかねない。また、まだ投票する候補を決めていない人の間で、頑なな姿勢を取る尹錫悦氏離れを引き起こすだろう。

 こうしたことを考慮すると、現在の双方の動きは駆け引きであり、いずれ一本化に向けて動きだすものではないだろうか。

 今回は候補一本化に関する安哲秀氏の提案の意味と今後の見通しについて分析したい。

接戦を繰り広げる
李在明氏と尹錫悦氏

 与党「共に民主党」候補の李在明(イ・ジェミョン)氏と尹錫悦氏への支持率は、これまで両候補に対するスキャンダルの影響度に応じて浮き沈みを繰り返してきた。

 尹錫悦氏夫人の金建希(キム・ゴンヒ)氏の就職活動に伴う、経歴偽装疑惑が過熱化したにもかかわらず、それに尹錫悦氏が毅然と対応しないことで、国民の力の李俊錫(イ・ジュンソク)氏が対立し、共同選対委員長辞任騒動に発展した。このため尹錫悦氏の支持率が急落したが、国民の力の中で和解が成立すると、支持率も持ち直した。

 その後、李在明氏の大庄洞(テジャンドン)都市開発に絡んだスキャンダルで、実務者3人が自殺した。また、京畿(キョンギ)道知事時代に李在明氏夫人が職員に私的用務に使い、公的クレジットカードを私的に使った疑惑が生じると、李在明氏の支持に逆風が吹いた。