昨今はサプライチェーン（供給網）に関する悪いニュースがあふれ、自動車からコーヒーカップまであらゆるものが不足している。だが朗報もある。この種の混乱が新常態になるのを防ぐ可能性のある革新的な是正策に多くの企業が取り組んでいることだ。製品を製造したり輸送したりするシステムの技術的な是正については、最も注目を集めている解決策――自動運転トラックをはじめ、人工知能（AI）という「魔法のソース」をかければ問題が解決するという考え方――では変化は起こせない。むしろ起業家精神旺盛な人たちが取り組んでいるのは、全てのサプライチェーンを悩ます最も基本的な課題への対処だ。例えば、倉庫を管理したり在庫を追跡したりするための敏しょうなシステムや、未使用の倉庫スペースの貸し出しを容易にするソフトウエアやサービス、小売業者が商品を消費者に近い場所で管理し、素早く届けられるようにするソフトウエアやサービスなどだ。また、労働集約的なサプライチェーンの部分を自動化し、不足している労働者の需要を単に減らすだけでなく、企業が雇っている従業員の生産性と満足度を向上させる新たな方法も模索されている。