ロシアがウクライナに侵攻してから16日目の午前10時、チェルノブイリ原発内の固定電話が鳴った。世界最悪の原発事故の現場は監獄に様変わりし、しかも刻一刻と危険が増していた。任務に当たっていた信号手が受話器を取り、同原発のベテランでシフト勤務の監督者であるバレンティン・ヘイコー氏につないだ。ヘイコー氏は電話の相手である幹部らに、施設内の技術者と支援スタッフ210人が切羽詰まった状況に置かれていると訴えた。職員は人質にとられた状態で、数千本の使用済み燃料棒の保安作業をしている――。その前の晩には、核廃棄物の保安を担当する疲れ切った技術者と、開戦直後から彼らに銃を突きつけているロシア兵との間で再び対立が起こっていた。
チェルノブイリ原発、人質職員200人の苦闘
ロシア兵に銃で脅されながら24時間体制で勤務を強いられている
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