日本初のサインレス決済やポイントに有効期限のない「永久不滅ポイント」など、イノベーティブな発想と戦略でクレディセゾンを成長させ、2002年にクレジットカード業界のトップへと押し上げた林野宏会長CEO。毎日のようにスタートアップと面会するなど、そのビジネス感度を常にアップデートし続ける林野さんに「VUCA時代のネクストリーダーに求められる力」についてお聞きします。今回の質問は「社長へと上り詰める人と部長で止まる人の差とは?」。果たして林野さんの答えは?
志を持って入社してもいつしか
「普通」の人になってしまう
――「社長へ上り詰める人」と「部長で止まる人」の差は何でしょうか?
これはもう明快です。
たとえばアメリカですと、ハーバード大学のような超一流大学の出身者であったり、MBAを取得したビジネスエリートであったり、そういう人でないとなかなか企業のトップにはなれません。その中で企業経営の人脈をつくってしまうんですね。
もちろん、ジェフ・ベゾスやイーロン・マスク、マーク・ザッカーバーグといった、アントレプレナー(起業家)は別ですが、そうではないエスタブリッシュした企業のほとんどはMBA勢が押さえてしまっています。
一方、日本の企業はというと、おもしろいことに誰が社長になるかわかりませんよね。アメリカと比較してもMBAを持つ社長の数は圧倒的に少ないし、たとえ持っていたとしても、それが社長になれるかどうかを左右することはあまりありません。ということは、誰にでもチャンスがあるということなんです。
日本では、「私は社長になるんだ」なんて周囲に言っていると、「あの人、変わっているよね」というふうに言われてしまう。たとえ「社長になるぞ」という志を持って入社してきても、新入社員研修が終わる頃になると、なぜか普通の人になってしまう。
しかし、会社に入ったからにはトップを目指すべきです。このことは冒頭の「社長へと上りつめる人と部長で止まる人の差」につながってくるのですが、答えは明確です。