尹錫悦次期大統領大統領室の移転強行に反発する文在寅大統領から尹錫悦次期大統領への政権引き継ぎに、支障を来しかねない事態となっている(今月20日に韓国・ソウルで行われた記者会見で、大統領府移転計画について説明する尹錫悦氏) Photo:Pool/gettyimages

大統領執務室の移転を巡り
大統領と次期大統領が対立

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領と次期大統領となる尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏の対立が深まっている。

 3月16日に予定されていた、文・尹両氏の最初の会談は延期となった。その大きな理由は、文在寅政権末における公共機関長および幹部の任命問題と李明博(イ・ミョンバク)氏の赦免問題であった。

 しかし、最近さらに注目を浴びているのが大統領執務室移転の問題である。これは文在寅政権の政治姿勢そのものを批判する尹錫悦氏側の攻勢であり、文在寅氏が大統領の権限を集中させてきた帝王的大統領制を、民主的大統領制に変えようとする尹錫悦氏の取り組みに関わるものである。

 尹錫悦氏は、大統領府を現在ある青瓦台から国防部のある竜山(ヨンサン)に移転しようとしている。尹錫悦氏は大統領選挙期間中、青瓦台を出て、現在の官庁街のある光化門(カンファムン)に移転することを公約とした。だが、光化門には種々の技術的問題があるため、これを竜山に変更しようとしている。しかも現在の文在寅政権の間に移転を完了しようとしているのだ。

 文在寅氏側近の李哲煕(イ・チョルヒ)政務首席秘書官と尹錫悦氏側近の張済元(チャン・ジェヨン)秘書室長が日程再調整を巡って会談したが、2時間後に物別れに終わった。