韓国にとって「ウクライナの悲劇」が人ごとではない理由、元駐韓大使が解説写真は2017年の東方経済フォーラム Photo: Anadolu Agency/gettyimages

韓国の脆弱な国防態勢を見直し
日米韓の協力体制を強化すべきだ

 ロシアのプーチン大統領は21日、ウクライナ東部で政府軍との紛争を続ける親ロシア派武装勢力の占領地域の独立を一方的に承認した。さらに、ウクライナ東部の親ロシア派武装勢力が「ウクライナ軍の攻撃を撃退するため」の支援をプーチン大統領に要請したのを受け、24日、ウクライナへの軍事侵攻を始めた。ウクライナ各地の軍事施設が空爆されたほか、首都キエフでも爆発音が聞こえている。

 ロシアがウクライナを攻撃する意図について論じることが、本稿の目的ではない。本稿の目的は、ウクライナがロシアの侵攻を許すことになった脆弱(ぜいじゃく)性は、現在の韓国が東アジアの中で置かれた現状、文在寅政権が北朝鮮や中国の善意を信じ、米韓同盟、日米豪印・クアッドの協力から距離を置く対応と共通するものがあり、韓国がウクライナの教訓から学ぶ必要性を考えることにある。

 ウクライナの状況が世界の平和と安全、世界経済に及ぼす影響は甚大であり、その影響を日本も受けることは避けられない。しかし、韓国が北朝鮮の攻撃を受ければ、その影響は日本に直接及ぶことになる。5月に韓国に誕生する新政権には、文政権によって脆弱となった国防体制を見直し、韓国の地政学的立ち位置を再度点検して、米韓同盟、日米韓協力体制を強化してもらいたいものである。