【香港】中国では、最重要政策目標の一つである「共同富裕」への取り組みが後退しているように見える。これは、習近平国家主席が権力を掌握してから10年近くが経過した今でも、中国経済の変革と不均衡是正がいかに困難な課題なのかを浮き彫りにするものだ。
昨年の大半の期間、習氏は「共同富裕」と称される自身の看板政策を積極的に宣伝してきた。同政策は、中国の富の再分配の強化を目指したもので、同国のエリート層が著しい経済発展から過大な恩恵を受けているとの懸念がその背景になっていた。この政策は、利益拡大のため市場での影響力を巧みに利用していると見られていたハイテク企業への締め付けなど、習氏の多くの取り組みの基盤になっていた。