続けられる「ゼロコロナ政策」
長春市では900万人の外出制限
中国では、わずかな感染でも厳格に封じ込めようとする「ゼロコロナ政策」が続けられている。このところ中国全土で感染が急拡大しており、3月半ばの感染者数は2020年4月以降で最多を更新した。吉林省長春市では、約900万人にのぼる全市民の外出が制限されたほか、広東省深セン市や上海市でも厳しい活動制限が実施された。
このような中国の感染対策は、世界の標準的な対応と一線を画す。他国は総じて活動制限を緩和しつつある。その背景として、オミクロン株による入院率や重症化率、死亡率が従来株と比べて低く、厳しい活動制限の必要性が薄れたという事情が指摘できる。一方で、オミクロン株の感染力は高いため、政府が厳格な感染対策に固執すると、高頻度で都市封鎖を余儀なくされ、国民に大きな負担を強いる。
しかし、情報が統制される中国では、国民がこうしたウイルスの変容を必ずしも理解していないとみられるほか、オミクロン株に有効なワクチンや飲み薬の開発・普及が進んでいないことも、ゼロコロナ政策の背景にあると考えられる。
中国国営メディアは、世界各国の死者数の多さを指摘するほか、オミクロン株に続く変異株を警戒するよう呼びかけるなど、ゼロコロナ政策の必要性を引き続き主張している。
習近平国家主席は3月17日、政治局常務委員会の会議で、ゼロコロナ政策の徹底と早期の感染抑制を指示した。また同主席は、地方幹部が職務を怠って感染拡大を招いた場合、厳しく責任を問うと表明した。