伝わるデザインには、根拠があります。
デザイナーの深田美千代さんは、デザイナーではないノンデザイナーさんや、デザイン初心者さんを対象とした講座やセミナーを開催しています。そんな深田さんの著書『センスがなくても大丈夫! まねるだけで伝わるデザイン』は、多くの受講者さんにありがちなデザインの悩みを解決し、何となく垢抜けなくて悩ましいデザインを、たちまち伝わるデザインに変えるコツを教えてくれます。
ここでは『センスがなくても大丈夫! まねるだけで伝わるデザイン』から一部を再構成して紹介します。

【デザインが垢抜ける】人物写真をレイアウトする際に、何より意識したほうがいい「人の習性」とは?

視線の方向は?

深田美千代(ふかだみちよ)
大手複合機メーカーに在職中、40歳を目前に多摩美術大学に入学。世界標準である非常口サインの制作者、太田幸夫氏に師事する。大学に通いながら仕事では取扱説明書の制作に携わり、1000ページ超の分厚いマニュアルを利用者目線で改善。イラストを多用して40ページに仕上げたところ、電話相談センターへの問い合わせ数が3分の1にまで減少、顧客満足度40%向上という成果をおさめる。これにより「トリセツの達人」として雑誌や全国紙、テレビ等のメディア、デザイン書で紹介される。2008年からカタログや広報誌、ブランディングなどの企画制作全般へと担当業務を広げ、2014年に独立。大手企業から個人商店まで幅広い業態のデザイン制作を請け負うほか、企業研修やセミナーを開催し、受講者からわかりやすいと好評を得ている。受賞歴に2006年度マニュアルオブザイヤー(日本マニュアルコンテスト)等多数がある。

今回は、人物の写真を使ってデザインをする時のちょっとしたコツについてお話しします。

人物の写真を使う際には、ヒトの習性を利用しましょう。

私たちは、他の人が何を見ているかがとても気になります。

会話中に、相手が自分の後ろに目を向けたら、ついついそちらを見てしまいますよね。写真も同じ。写真の中の人物が見ている方向へ、自然と目がいくのです。

下の写真では、女の子の視線の先に文字があります。両者がコミュニケーションをとっていますよ。見つめ合っています!

人は、見た瞬間にすべてを理解することはできません。

この写真であれば、まず女の子を見てから、視線にうながされて「なんだろう?」と文字に目を向けます。

この工程がシンプルにデザインされていれば、相手は興味を持ち続けてくれるのです。シンプル・イズ・ベストです。

【デザインが垢抜ける】人物写真をレイアウトする際に、何より意識したほうがいい「人の習性」とは?見つめ合っています。『まねるだけで伝わるデザイン』より

問題です

では、ここで問題です。

次のページのAとB、どちらのレイアウトのほうがいいと思いますか?