イスラム主義組織タリバンが昨年8月にヘラートを包囲したとき、グル・モハマドさんは食料や薬を買うお金を借りた相手に囲まれ、街が陥落する前に返済しろと要求された。彼も妻も、選択肢は一つしかないと考えた。息子のハリル・アフマドさん(15)には、貧民街の掘っ立て小屋から近くの病院に連れて行く理由を話さなかった。「もし言っていたら、彼は同意しなかったかもしれない」とモハマドさんは言った。病院に行くと、医師がハリルさんに麻酔をかけて腎臓を摘出した。両親はそれを4500ドル(約58万円)で売った。ちょうど借金を返済できるだけの金額だった。アフガンでは、米国が支援する政府をタリバンが放逐し、経済が崩壊して以来、人道危機がかつてないほど悪化した。人々は生存のためにますます窮余の策に頼らざるを得なくなっている。
臓器売買横行のアフガン、タリバン下で貧困悪化
「息子の腎臓を売りたい父親なんていない」 経済崩壊と制裁で深刻化する人道的危機
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