拡張現実(AR)はショッピングの仕方をがらりと変えるかもしれない。だが購入する場所を劇的に変えることはないだろう。実店舗はほんの一瞬、新型コロナウイルス禍による永遠の犠牲者になるのかと思われた。電子商取引(eコマース)が急に勢いづいたからだ。ショッピファイのような電子商取引プラットフォームのおかげで実店舗はオンラインに移行し、消費者はわずか2、3回のクリックで商品を購入できるようになった。だがそれは、購入する前に手で触り、匂いを嗅ぎ、試着や試用ができるのとは比べものにならないのかもしれない。テクノロジーがその溝の一部を埋めるのは必然だろうが、利便性の多くはやはり実店舗にあると言えそうだ。3月はコロナ流行後で初めてeコマースの売上高が前年同月比で減少し、店舗の売上高が増加した月になったと、先週末にウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は報じた。その原動力は、店舗を再び訪れることを目新しく感じるつかの間の作用だとも考えられる。だがABバーンスタインのマーク・シュムリク氏など複数のアナリストが、これは1世紀以上にわたる習慣に基づくもので、長続きする傾向だと話している。