円が急落している理由は明らかだ。日本ではさらなる物価上昇が望まれる一方で、他の先進国の大半では上昇が行き過ぎている。エネルギー価格の高騰も一因となり、日本はついに、長らく届かなかったインフレ目標を達成できるかもしれない。その真の目的である賃金上昇については、実現がより難しいものの、そこにも希望の光が見えている。円は今年に入り対ドルで13%下落し、20年ぶりの安値圏にある。日銀が10年物国債の利回り0.25%を金利の変動許容幅の上限とする政策を維持し、必要とあれば全ての営業日で国債を購入するとしたことを受け、先週は円安に拍車がかかった。日本の金融緩和継続と米国の引き締めが意味するのは、両国の国債利回り差の拡大である。日米の10年債利回りのスプレッドは2.67%と、3年ぶりの大きさに達している。