写真:明治安田生命保険Photo by Yasuo Katatae

生命保険大手の明治安田生命保険で、保険の提案や営業を担当する営業職員が顧客から金銭を詐取していた事件が発覚した。生保業界では同様の金銭詐取事件が相次いでおり、生命保険業界は以前から必要性が指摘されている「営業職員ガイドライン」の策定に動きださざるを得ない状況になっている。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)

明治安田でも発覚した金銭詐取
「営業職員ガイドライン」不可避

 またか――。生命保険業界に、衝撃と落胆の声が駆け巡った。

 明治安田生命保険の元営業職員(生保レディー)が、顧客である3世帯から、合計数千万円の金銭を詐取していたことが発覚した。手口は、契約している生命保険の解約返戻金の一定範囲内で、顧客が生命保険会社から貸し付けを受けることができる「契約者貸付」を悪用したもの。これまでに何度も行われてきた、詐取の常とう手段だ。

 詐取を行った元営業職員は、東京・新宿支社中野営業所の所属で、2020年10月に契約満了により退職済み。21年7月に明治安田生命へ顧客から苦情があり調査したところ、04年と17年に詐取が行われていたことが判明した。

 明治安田生命は、被害に遭った顧客に全額返金した上で、元営業職員に対して刑事告訴も含めて、対応を検討している。

 生保業界42社のうちの1社である明治安田生命で発覚した金銭詐取事件に、業界全体が震え上がる理由は、相次ぐ金銭詐取事件を受けて、生保協会側と監督官庁の金融庁との間で水面下で繰り広げられている、「営業職員ガイドライン」攻防戦に大きな影響を及ぼすからだ。

 攻防戦では、早速動きがあった。